Zaki-san's Bar

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「かぎりなくやさしい花々」 星野富弘著

今週のお題「名作」

星野富弘さんが つい先日亡くなられた。

知っている人も多いとは思うが、群馬県で中学校の体育教師だった

星野さんは、学校のクラブ活動の指導中に事故で頸椎を損傷された。

首から下が動かないという状態になりながら、口にペンを加えて

素晴らしい花の絵と詩を沢山作られた、画と詩を一緒にした作品

詩画の代表的な作家のひとりだ。

 

旅行の途中で、たまたま見つけた美術館

もう何十年も前のことだ。日光から、足尾銅山を見て、帰り道、

まだ新しく、こじんまりとした美術館を見つけて、興味をそそられ

入った。 それが、「東村立富弘美術館」だった。(今は東村は

みどり市になっていて「みどり市立」だが)

なにげなく、入った事が、僕が星野富弘さんを知るきっかけだった。

そこには、沢山の本当に素晴らしい詩のそえられた、きれいな花の

画が沢山あり。しかも怪我をされた方が口にペンを加えて書かれた

という。僕なんか、普通に利き手で書いても本当に絵は下手くそ

なので、単純に感心するとともに、そのひとつひとつの詩が、

本当にやさしくて、すっと心が癒されるのを感じで、すっかり

魅了されてしまった。

 

星野さんの事が、もっと知りたくて、本を買って読んだ。

家に帰ってきて、数日後の休日、本屋さんに行って星野さんの本を

探した。 たしか、詩画が沢山載っている本と、もうひとつが、

今回紹介したい「かぎりなくやさしい花々」という星野さんの自伝

のような内容の本である。

そこには、自信の生い立ちや、怪我をしてからの入院生活、その後

絵を描きだした事やリハビリ、退院からその後の生活について書かれた

ものだ。一気に読んでしまったが、途中でも何度も涙がとまらなかった。

何回も何回も、読み返している。

人間の幸せや、不幸というのは、いったい何で決まるんだろう。

人の強さ、弱さ、やさしさ、そんな事をストレートに感じる事が

できる。 やっぱり、本当に生きるか死ぬかを経験し、さらには

絶望を希望を経験した方の語る言葉には とてつもない力がある。

 

当然、著作権もあるので、詩をそのまま引用したりはできないが

興味のある方は是非読んでみてください

一時期絶版になっていて、僕は持っていないのですが、

「愛、深き淵より」という本が、上の本より前に出ていて、内容的には

同じように、事故から入院、そして詩画を描き始めるといったあたり

を書いているようです。

星野さんの詩画を紹介しているサイトなどもあるので、是非見て

みてください。

tomihiro.net

最後に、僕が一番気に入っている詩画が上記のサイトに紹介してある

下記のページの2番目にある 「がくあじさい」という詩だ。

この本の最後にご結婚される所まで書いてあるのだが、星野富弘さん

は本当に凄い人だけれど、奥様が本当に素晴らしい方だ。

当然、手足が動かない富弘さんにとっては、詩画を描くためには奥様

がずっとサポートしなければならない。そんな奥様に対する気持ち

この詩を美術館で見た時には、しばらく 前から動けずに人目も

はばからず泣いてしまった事も忘れられない。

tomihiro.net

今回のお題を見て、また星野さんの訃報を見て、久しぶりに、この本を

読んだ。 

かぎりなくやさしい花々 を やさしいと感じる心が素晴らしいと思う。